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東洋対西洋、食生活の違い


―より良いカルシウム摂取―
Mike Finnegan著

アジア型食生活を続けると、健康で長生きできるという研究結果は最近、数多く出ています。こうした結果の大半は、コーネル大学の栄養生物学者、T・コリン・キャンプベル(T. Colin Campbell) 博士やChinese Institute of Nutrition and Food Hygiene(北京)のチェン・ジュンシ (Dr. Chen Junshi) 博士が、中国本土の地方に住む6千500人と台湾人1万500人を調べた膨大な研究が基になっています。

研究では、中国人に冠状動脈心臓病やがん、また欧米によく見られる慢性疾患患者が少ない理由が明らかなっています。 China-Cornell-Oxford Diet and Health Projectではさらに、地中海型食生活が健康であると指摘されている理由も解明して見せています。実は、両方の食生活に大きな共通項があり、それはどちらもほとんど肉を食べないことです。

キャンプベル医師が調べた中国の地方でも、全くといっていい程、動物の肉を食べません。また、食べてもその量はほんの僅かでした。中国人のコレステロール値がアメリカ人に比べかなり低いのはこのためであると、同医師は考えています。中国人の血中コレステロール値は、血漿100mg中88から165mlの範囲でした。一方、アメリカ人は通常155から274mlを示します。また、範囲の高い方に入る中国人は発がん率も高かったようです。

アジア型食生活に右倣えをして、今のアメリカ人が肉類を止めることは不可能に近いものがあります。何しろ、固形物を食べられるようになる小さい頃から、肉類で育ってきたようなものですから。実際、離乳食製品でも見かけるのは、牛肉や豆類ばかりです。でも、健康と評判のアジア型食事に惹かれ、近くのアジア系レストランで食事を取ろうと思い立っても、ちょっと考え直して見て下さい。大体のレストランや持ち帰りの料理は、そのほとんどが野菜を少なくし、肉を多めにした、つまりアメリカ人好みになっています。一度に多くの種類の料理を少しずつ楽しむのがアジア型。反対にアメリカ人は、皿数は少ないかわりに食べる量はかなりのものです。

米国では、肉が食生活の中心的存在です。一方のアジア民族は、米や小麦といった穀類と油炒めをした野菜をたまに摂るくらい。

結局のところ、アメリカ人は脂肪摂取量を適当と思われる水準まで下げる必要があります。その量は、大体、カロリー総量の20%といったところでしょうか。今のアメリカ人はカロリーの約35%を脂肪から吸収しています。比べてアジア民族は6から24%というもの。こうした低脂肪の食事が、血中のコレステロール値を下げ体重も少なく押さえるという離れ業をやってみせるのです。

アジア民族は欧米人のように大食いをしないため、比較的やせていると思われがちですが、これは誤解です。中国人の1日に摂るカロリーは欧米人より20%も多いのが事実。でも、同じ身長で体重を比べると、欧米人の方が25%も多いのです。これはではまったく説明がつかない様ですが、それはひとえに欧米人の摂る肉の量が多いことからくるもの。長い歴史の間に、人間の体は脂肪の効率良い貯め方を覚えてきました。これは、古代人が食べ物を摂らなくても生き延びてこなければならなかったように、人が生存していこうとする本能によるものでした。その反面では、炭水化物をエネルギーとして最大の効率で利用するように体は作られています。ただ、アジア民族は歩いたり、出かけるのに自転車を使ったりすることで、欧米人より余計体を動かしているのも事実です。

Better Calcium Intake(より良いカルシウム摂取)
アメリカ人が野菜主体のアジア型食生活に切り替えていくことは、骨粗鬆症の危険性低下にもつながります。肉は消化される時ある酸を形成するのですが、この酸が骨からカルシウムを溶かし出してしまうようです。中国人の摂るカルシウム量はアメリカ人の半分だけ。でも、中国やその他のアジア諸国で骨粗鬆症が少ないのは、肉の消費量が少ないからです。そうした中国人のカルシウム源は、肉以外の緑色野菜や種などです。中国や日本で愛用されている豆腐は、カルシウム摂取を容易にするカルシウム硫酸塩を含んでいます。また、乳製品は高蛋白質成分のため骨の密度に必要なカルシウム量を増加させますが、これも中国人は全く摂らないか、摂ってもほんの少しだけだということです。

Cancer Fighters(がんと闘う食品)
欧米で患者数が増加している腸がん。でも反対に、東洋ではその罹患率は低いようです。この違いの理由として、アジア諸国の人々の摂る食物繊維量が欧米人の3倍に達する事実を科学者は指摘しています。中国人は米、小麦、アワ、大麦といったものからおおかたの食物繊維を摂取しているのです。キャンプベル医師は研究の中で、中国人が腸がんで死亡する割合を、男性10万人中6.6人、女性は同じく4.3人とはじき出しています。一方の米国では、同じく男性16.9人、女性13.1人という数字が出ました。こうした大きな違いは、単に偶然によるものではありません。

腸がん以外のがんもアジア諸国では目立って多くないことから、キャンプベル医師を始めとする多くの科学者は、大豆の摂取にその答えがあるのではないかと目を向け始めています。多くのアジア民族は、毎日何らかの形で大豆を摂っています。それは、豆腐であり、テンペであり、味噌、豆乳、醤油であったりしますが、National Cancer Instituteによると、どんなものにせよ抗がん作用があるといわれる植物性化合物質の『アイソフラボン』を含みます。大豆はまた、更年期障害の症状緩和効果もあるということです。

Bacteria and Your Immune System(細菌と免疫システム)
完全な菜食型や野菜を多く食べる食生活では、免疫システムが強化されます。コーネル大学のジェフリー・ゲイツ博士の説明によると、人の胃腸器官には500種類ものバクテリアが存在しています。バクテリアの中には「悪玉」があり、また「善玉」もあるということです。善玉バクテリアは、免疫機能を促進し、他の細菌の増殖を押さえます。植物性食品は自然界の糖、オリゴ糖を含みますが、この糖は「善玉」バクテリアに栄養を与える餌となり、成長を促すのです。一方、肉や乳製品を摂ると、「悪玉」バクテリアに栄養をたくさん与えるような結果となります。腸内バクテリアにスポットをあてることは胃腸生態学という新しい学問を形作り、これからの健康関連問題を解明していく力となると期待されています。

Not Always Perfect (いつも完璧とは限らない)
アジア型食生活に欠点がないというわけではありません。キャンプベル医師は中国での調査の間、アメリカ人より胃がんの罹患率が高いことや高血圧症も多いことに注目しました。塩気の多い醤油などの食品を多く摂るため、塩分の摂りすぎが原因ではないかと、同医師は考えています。以上の悪い要素を食生活から排除すれば、東洋と欧米の良い所だけを味わうことができます。食生活は、最終的には自分の身に帰ってくることです。だからこそ、じっくりと落ち着いて取り組むことが大切なのです。


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